『FXチャート実践帳・スキャルピング編』(二階堂重人)をMT4で検証してみる

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目次

概要

この記事では、『FXチャート実践帳・スキャルピング編』(二階堂重人)に記載されているトレードルールをもとにEAを作成します。
また、作成したEAが儲かるかどうか検証結果を記載しています。

トレードルールの確認

『FXチャート実践帳・スキャルピング編』(二階堂重人)に記載されているトレードルールを確認します。

エントリー(買い)の条件

以下の6つの条件を全て満たした際に、エントリーする。
※条件1~条件6は同時に満たすのではなく、条件1→条件2→…→条件6の順番に満たしていく

条件1 急騰か大きく上昇してセンターバンドが上向きになっている
条件2 ストキャスティクスが80パーセント以上になる
条件3 +2σと-2σの間隔が目安以上に広がる
条件4 陰線を中心にして下落
条件5 ストキャスティクスが20パーセントを割る
条件6 センターバンド付近でV字反発

エントリー(売り)の条件

以下の6つの条件を全て満たした際に、エントリーする。
※条件1~条件6は同時に満たすのではなく、条件1→条件2→…→条件6の順番に満たしていく

条件1 急落か大きく下降して、センターバンドが下向きになっている
条件2 ストキャスティクスが20パーセント以下になる
条件3 +2σと-2σの間隔が目安以上に広がる
条件4 陽線を中心にして下落
条件5 ストキャスティクスが80パーセント以上になる
条件6 センターバンド付近で逆V字反落

トレードルールのEA化

上記のルールをソースコードに落とし込む際に、トレードルールにあいまいな所(数値に落とし込みづらい所)があります。

まずは、1つ1つの条件をどのように、数式として定義していくか考えてみましょう。

以下では、エントリー(買い)の条件を対象に考えます。
※エントリー(売り)の条件はエントリー(買い)の条件の裏返しなので確認しません。

条件1 急騰か大きく上昇してセンターバンドが上向きになっている

この条件は、以下のように2つ分割できます。
「急騰か大きく上昇して」「センターバンドが上向きになっている」

「急落か大きく下降して」の部分の定義は、何をもって、「急落」と定義するのか人によって変わるので、数値化するのは難しいです。

「急落」の考えられる解釈は以下の通りです。
・センターバンドの傾きが過去の一定期間で、負から正になったか?
・センターバンドの傾きが過去の一定期間で、劇的に変化した箇所があるか?
・ボリンジャーバンドで+2σタッチしているか?
※この部分はあいまいさがあるので、以下で紹介するEAには条件として組み込んでいません。

「センターバンドが上向きになっている」は、以下のように解釈できます。
(現在のセンターバンドの数値)-が(1つ前の足のセンターバンドの数値)より大きい。

これを素直に数値化すると以下のようになります。
(現在のセンターバンドの数値)- (1つ前の足のセンターバンドの数値)>0

しかし、この条件だと、(現在のセンターバンドの数値)と(1つ前の足のセンターバンドの数値)の値がほぼ等しい状況でも条件に当てはまってしまいます。その結果、傾きがほぼないフラットな状況でも条件を満たしてしまいます。

そこで、十分に傾いていることを条件にしたいのなら、以下のようにします。
(現在のセンターバンドの数値)- (1つ前の足のセンターバンドの数値)>1Pips

条件2 ストキャスティクスが80パーセント以上になる

この条件自体にはほとんどあいまいさがありません。

※ストキャスティクスの判断の仕方に若干のブレが発生するかもしれません。ただ、ぶっちゃけ結果にほとんど差異を与えないと思われます
・MT4でストキャスティクスを表示するとMainラインとSignalラインの2つが表示されるが、どちらを使用するか?
・MT4でapplied_fieldをLow/Highにするか、Close/Closeにするか?
・足が確定してから判断するか、リアルタイムで判断するか?

プログラムを組む上で難しいのは、「ストキャスティクスが80パーセント以上になる」になったというシグナルをどのように管理するかです。

本書のトレードルールは、条件1→条件2→…→条件6の順番に満たしてからトレードします。

条件3以降で、条件を満たさなかった場合、条件2のシグナルを破棄する必要があります。

今回作成するEAでは、
「条件5 ストキャスティクスが20パーセントを割る」を満たしていることを確認してから、過去一定期間を探索して「条件2 ストキャスティクスが80パーセント以上になる」を満たしているかどうか確認しています。

条件3 +2σと-2σの間隔が目安以上に広がる

本章のP59には。「大きく上昇した高値、大きく下降した安値の位置で±2σの幅を確認」と記載されています。

プログラムを組む上で面倒なのは、どこまでの範囲(あるいはどうやって)高値・安値を探すかです。

まじめにやるなら、「条件2 ストキャスティクスが80パーセント以上になる」を満たしている付近で、一定の期間分の高値を探索すればいいです。

以下のEAでは、
現在の足から、さかのぼっていって最初に見つかった「条件2 ストキャスティクスが80パーセント以上になる」を満たす足に対して、+2σと-2σの間隔を確認するというロジックを組んでいます。
そのため、必ずしも、その付近の高値であるとは限りません。

+2σと-2σの間隔、P59に、ユーロ/米ドルなら、35Pipsあればいいと本書では記載されています。
以下のEAでは、少し条件を緩めて20Pips(200Point)としています。

条件4 陰線を中心にして下落

この部分は非常にあいまいで、どのようにでも解釈できてしまいます。
本章P68では「きれいに並んでいるときだけエントリーする」と記載されていますが、「きれい」って何?ってつっこみたい気分です。

考えられる解釈は以下の通りです。
・陰線の割合が一定以上
(例)80%以上が陰線
・陽線がある場合、それより以前にある陰線の高値を上回っていない

この条件はあいまいなので、EAにはこの条件を組み込みません。

条件5 ストキャスティクスが20パーセントを割る

「条件2 ストキャスティクスが80パーセント以上になる」と内容が被るので、割愛します。

条件6 センターバンド付近でV字反発

この条件は、以下のように2つ分割できます。
「センターバンド付近」で「V字反発」

「センターバンド付近」という記載がかなりあいまいです。
本書では、以下のような記載があります。

「センターバンドから少し離れている場合は、各自の判断でエントリーしてよい」
「大きく離れている場合は見送ります」
「V字の確定足の終値はセンターバンドの上にあることが絶対条件です」

「センターバンド付近」というのは以下のような解釈ができます。
V字を構成する3本の足(1つ目の足・2つ目の足・3つ目の足・全部・どれか1本)
の値段(始値・終値)が
・±1σラインの内側にある
・センターバンドから一定の値幅以内である

このように自由に「センターバンド付近」という条件を決められるので、いったんこの条件は考えず、プログラムのロジックには組み込みません。

「V字反発」していることは陰線→陽線→陽線となっているかどうかで判断します。

「V字の確定足の終値はセンターバンドの上にあることが絶対条件です」という記載があるので、現在の足が、センターバンドより上にあるという条件を加えます

EA作成にあたって無視したルール

以上まとめると、以下の部分を無視してEAを作成します。

条件1 「急騰か大きく上昇して」
条件4 「陰線を中心にして下落」
条件6 「センターバンド付近」

EA作成にあたって追加したルール

・利確20Pips。損切10Pips
・現在のセンターバンドの傾きが上(下)に切り替わったら、エントリーの売り(買い)の条件を途中まで満たしている場合でも、その条件を一度白紙に戻す

ソースコード

※以下のソースコードは、
『FXメタトレーダー実践プログラミング (現代の錬金術師シリーズ)』(豊嶋久道)
で紹介されているライブラリーを使用しています。
そのため、コピペだと動きません。

作成したEAの結果

2017~2018年の期間で、スプレッド10Point(1Pips)で検証しています。
プロフィットファクタは1.24で、利益を出しています。

※(注)記事には記載していないが、2016~2017年では利益を上げていなかったので、安定しているとは言い難いです。

考察

条件6の「センターバンド付近」を無視した結果、あまり想定していない箇所でエントリーしています。

センターバンドの大きく外れた2σライン付近でエントリーしていることがそこそこあります。

本書で紹介されている手法は押し目買いや戻り売りを狙うのですが、自分の作成したEAは、押し目・戻りを捉えているとは言い難いです。

改善案

・損切の位置を改善する
(案1)±1σラインを使う
(案2)条件6のV字の真ん中の足の安値・高値を使う
・上位時間軸の情報を取り込む
・時間軸を変える
・深めの押し目・戻りを捉えられるようにする
→「V字の確定足の終値はセンターバンドの上にある」という条件を緩める必要がある。
・無視した条件(条件1・4・6)をルールに組み込む。

今後の予定

作成してみた結果、そんなに悪い結果ではなかったです。
改造すれば、実用に耐えうるEAができるのではないかと思っています。
機会があれば、いつか改善します。

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